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第3083回
政治制度はどちらにも欠点があります

日本は戦前から議院制度というものがありました。
でもあまりうまくその機能をはたしていませんでした。
日本を近隣諸国との戦争に持ち込んだのは軍部であり、
それをさしとめるだけの力が議会にはなかったのです。

敗戦後、日本は一時期、
連合軍によって占領され、
アメリカの統治を受けましたが、
この時期に日本の現行の政治制度が確立されました。
貴族院は参議院に改められ、
アメリカ的な雰囲気の濃い二院制が続いていますが、
この制度にも色々と難しい面や欠陥があります。
それでも日本人はこれを民主主義と信じ込んで、
他の国の政治制度を批判したり、
ぼろくそに言ったりします。
はたしていまの日本の議会制度が一番理想的なのでしょうか。
もしくはアメリカがやっているような選挙制度が
一番民意を反映した政治主義と言えるのでしょうか。
他国の批判をする時、
日本人はつい自分たちの政治制度の欠陥を棚に上げてしまいます。

しかし、いまの政治制度は両院の過半数を与党が占めていないと、
ニッチもサッチも行かなくなるし、
憲法改正どころか、
予算を通すのだって容易でなくなってしまいます。
簡単な話、遺産税には50%も税金を課しているのに、
親の票を子供が継ぐ場合は控除なしですから、
気がついたら、
議員制さえ世襲制になって徳川時代の昔に返ってしまっています。

また能力の有無と無関係に顔見知りに票が集まりますから
テレビのタレントが政治家になるチャンスがうんとふえ、
イケメンでカッコが良ければ議員や知事になる道がひらけます。
ということになれば、
行政の実権はますます官僚の手に握られるようになり、
気がついたら財政は大赤字なのに官僚の天下りをストップさせる
ブレーキさえきかなくなってしまいました。
これでも他国の政治をボロクソに言う資格があるのでしょうか。
もちろん、共産党にも共産党の悩みがあり、
向うも頭を抱え込んでいます。
国境の壁がおちても、
向うに何が起っているのか、
日本のジャーナリズムは
どうしてこんなに視界が悪くなってしまったのでしょうか。


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2008年8月18日(月)

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