中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3084回
人の振り見てわが振りを直しましょう

私は一月のうちに日本と中国の間を往来しています。
でも双方見比べてどちらがすぐれていると
簡単に決めてかかるわけには行きません。
基本的に日本は30年も先を進んでおり、
中国には改めるべきことがたくさんありますが、
それでも中国の方がすぐれていることもたくさんあります。
たとえば、日本では飛行場の滑走路1本をふやすのにも
7年の歳月がかかっていますが、
中国では地震のあった四川省だけでも
20いくつの飛行場の建設が同時に進行しています。
もし日本のようなスピードで高速道路の開発をしていたら、
中国は100年かかっても
いまの高速道路網はできていなかったでしょう。
オリンピックをひらくのに、こんなにたくさん邪魔が入り、
こんなに手間がかかったということは、
日本人に想像もできないような広大な土地と
多くの少数民族を抱え込んでいるという証拠です。
ロシアやトルコやアフリカの方がもっとずっと強権で
異民族に臨んでいるのです。

中国がオリンピックのために
5千億元もお金をかけたというけれど、
赤字国債でやったわけではありません。
日本はオリンピックどころか、毎年の財政収支だって
1年に80兆円お金がかかるというのに50兆円しか歳入がないのです。
年に4割近くも借金で国の運営をしているのですから、
自転車操業もいいところで、
国民の財産が担保にとられているようなものです。
敗戦後、課された財産税にもう一度見舞われるのではないかと
おそれおののいている人も決して少くはないのです。

それでもお隣りの国を罵ったり、あなどったりできるのでしょうか。
私なら人の国のことをあれこれ言うより、
自分の国の危機をどう乗りこえるかについて真剣に考えます。
それが手にあまるなら、国というとりでを乗りこえて
世界というスケールで物を考えます。
時間がたてば、いま自分たちがとりでにしているスペースは
忘れられて消えてなくなっているのです。
そんな気の小さいやり方よりも、
人の振り見て我が振りを直すことにしましょう。


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2008年8月19日(火)

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