中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3086回
コピーの時代が終ろうとしています

では何が中国の新しい時代かと言いますと、
これまでの20年は
欧米日など先進国のコピーをする時代だったのに対して、
いよいよオリジナルの時代に入ろうとしているということです。

学ぶということはマネるということであって、
先生が教える通りのことをくりかえすことです。
学校でそういうことを教えているのに、
金儲けの世界でそれをやらない道理がありません。
中国は無断で有名ブランドのコピーをしてけしからん
と非難されてきましたが、
コピーをしなければ、
本物のレベルに達することができないのです。
ですから、けしからんことはおっしゃる通りですが、
コピーがどんなレベルに達したかによって、
学ぶ人たちの実力がどの程度か、推しはかることができます。
ジーパンやベルトや靴の類は時代の流行を敏感に反映しますが、
中国はそれらの分野で時代の先端を行くメーカーの指導を受けて
その下請けをやっていますから、
急速に一流メーカーのレベルに達します。

なかでも最も早く先進国に追いつき、
しかも私たちに穿きやすい製品ができるようになったのが靴です。
今日、アメリカの運動靴メーカーの生産地は
ほとんどが中国ですが、
中国ではコストが高くなりすぎたと言って、
ベトナムやカンボジアやラオスに工場移転がはじまっています。
しかし、その移転にたずさわっているのは、
OEMでその生産にたずさわっている台湾や大陸の人たちであって、
アメリカ人ではありません。
アメリカ人は値切ることにだけ関心があって、
生産コストをどうやって切り下げて利益を上げるかに熱心なのは
製品をつくっている中国人の方です。

そのおかげで中国は短期間に、
世界一の皮靴メーカーにのしあがりました。
人口4千万人の製靴王国スペインに
1年に6千万足も皮靴を輸出しているのです。
これでは失業したスペインの職人たちから
中国メーカーの倉庫に火をつけられても仕方がありませんね。
でも短期間に世界一にのし上がった中国の方でも
靴屋のオヤジの夜逃げがはじまっているのです。


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2008年8月21日(木)

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