中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3087回
オリジナルでないと生き残れない

どうして世界一の製靴王国にのしあがった中国で、
靴屋のオヤジさんたちが工場と職人を置きざりにしたまま
夜逃げをするようになったかというと、
ドルが下がって手取りの収入は減るのに、
原料費は上がる一方だし、その上、
人件費が暴騰して工賃の値上げをしても
人が集まらなくなってしまったからです。
いま世界で起っていることも、
中国国内で起っていることも、
中国で物をつくって海外に輸出している
加工メーカーには不利に働いているのです。

もう2年ほども前のことですが、
香港の「亜洲週刊」という雑誌が東京にいる私のところまで
インタービューに来ました。
「中国経済はバブルがはじまるところまで来た
と言う人もあるようになりましたが、
どうお考えになっていますか」ときくから、
「いや、まだまだです。一口で言えば、株価は10倍、
為替レートは1ドル4人民元になります」と私は答えました。
あれから株価は猛烈に上がり、
反転して半分に値下がりしましたが、
もとよりまだまだ先があります。
為替レートの方は8.3元から人民元の切り上げは続き、
6.8元になっていますが、これも私が目安にした
レートに届くのにまだかなりの時間がかかります。

しかし、日本の株価が1000円から39000円まで駈けのぼり、
為替レートが360円から80円まで上昇したのと見比べても
やっと3合目に達したかどうかというところでしょう。
そうだとしたらまだまだ先がありますが、
株価も不動産の相場も早くも
ジェット・コースターに乗った気配を見せています。
なかでも輸出産業は下がる一方の動きになっていますから、
まともにそのショックを受ける広東省の深とか、
とか言った一帯の生産メーカーは
死ぬか生きるかの瀬戸際に立たされています。
どうしても中国に頼らざるを得ない業種か、
抜本的なコストダウンで対応できるメーカーでなければ
生き残れないところまで来てしまったのです。
もはやコピーだけではやっていけない段階まで辿りついたのです。


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2008年8月22日(金)

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