中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3088回
株主の方にも笑顔を見せて下さい

香港はシンガポールと並んでアジアの国際投資の基地であり、
わけても中国投資の窓口の役割をはたしていますので、
株式投資、不動産投資、国際金融を専門に扱う媒体も
結構たくさんあります。
プロと呼ばれる人たちの中にも
昔ながらの発想をする人もありますが
「アジアの時代」を前提とした新しい発想で
相場を見ている人もあります。

私はずいぶん前から中国の上場会社を見ていて、
中国には国営事業から上場会社に変わった企業と、
市場経済に移ってから会社を設立して
上場会社までのしあがった民間企業と二種類あって、
どちらも株主の方を向いていないと言ったことがあります。
国営事業出身はいまも国が最大の株主で、
トップの任命権を握っていますから、
トップの顔が政府の方しか向いていないのは当然ですが、
民間から出発した企業も、いざという時は
政府や銀行が助けてくれることを期待できませんから、
こんな時はかなりの利益があがっていても、
無配にして有事に備えます。
おかげでことしは無配転落の会社が多く、
株主の方もバカらしくなって株を売る方にまわってしまいます。
業績に比して中国株が必要以上に
売られているのはそのためだと私は見ています。

ですから私は自分と個人的につきあいのある
上場株の董事長さんには、この一、二期は足踏みでも、
将来に自信があれば、多少でも株配をして
株主に酬いるようアドバイスをしています。
そうした配慮をした企業のその後の株価の動きを見ていると
さほど株価は下がっていません。
ついこの間、香港の「経済日報」が出している株式情報紙を見ると、
全く同じ主旨の意見がプロの人から出ていました。
やっと少し進歩したなぁと私も思わず顔をほころばせましたが、
もし中国の証券界にもだんだん
それだけのゆとりがあるようになったら、
株主の支持ももっと集まるのではないでしょうか。
ということは中国の上場株の中には
まだまだ株主の方に顔を向けない
経営者が多いということでもあります。


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2008年8月23日(土)

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