中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3089回
香港のプロが私よりのろいわけ

香港の株式情報誌を見ていると、
風がどちらから吹いているかもわからないような解説に
よくぶっつかります。
どうしてかなと思ってよくよく考えて見ると、
情報源が株を実際に売買しているファンドとか
銀行の当事者に多く依存しているからです。
もしファンドで他人のお金を持って売買している
当事者の物の見方が正しいのなら、
どうしてサラリーもらって他人の金儲けの手伝いを
しなければならないのでしょうか。
また証券会社の窓口にいて、誰がどんな株を買うのか
一番よく知っているセールスマンが
たちまち大金持ちにならないのでしょうか。

どんな株を買えばいいのかということは、
多分、皆が気づいてからでは遅すぎるのです。
私が中国の輸出産業がいまにピンチにおちいるよ
と言ったのはもう2年も前のことです。
工業が発展すれば、人手不足におちいり、
労賃が上がることは日本で見てきました。
通貨が強くなることと人手不足が起ることが
産業界にとっては鬼門なのです。
それに対応して生き残るためには二つしか方法がありません。
もっとコストダウンに大なたをふるうか、
もっと労賃の安い国に移ってコスト・ダウンに努力するか、
二つに一つです。

そうは言っても、日本でもコスト・インフレが起ったら、
事業がすぐ左前にになるわけではありません。
国内需要が増えるので、しばらくはもちますし、
輸出をカバーしてあまりある内容であるか、
業種転換をすれば、以前より
もっと大きなスケールになることも考えられます。
それでも繊維産業や石炭業の斜陽化に
ブレーキをかけることはできませんでした。

繊維のような素材産業は駄目でしたが、
ファッションとか、食品加工はいまでも成り立っています。
素材の付加価値よりも、
生産過程の付加価値の方がずっと高いからです。

そういうことに香港の情報屋さんも漸く気がつくようになり、
輸出産業よりも輸入と内需に注目するようになりました。
私の方が2年は早いようですが、その分、
待たされる時間も長いということになります。


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2008年8月24日(日)

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