中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3093回
山東羅欣のボスは薬のセールスマン上がり

次の投資考察団で最後に見学に行くのは
臨沂というところにある山東羅欣の本社工場です。
中国人の生活環境が向上したら、
不動産と自動車が大きな商売になることは誰でも知っていますが、
もう一つ、誰でも生命と健康には気をつけるようになります。
ですから中国人寿に注目するようにと
何度も言及したことがあります。
また金のない時は薬を買う金もありませんから、
フトンを頭からかぶって寝ているよりほかありませんが、
少しでもふところに余裕があるようになったら、
病院にも行くようになるし、
薬も買って飲むようになります。
私が日本の成長株に気をつけるようになった頃、
武田はまだ大阪の小さな製薬会社だったし、
エーザイは上場もしていませんでした。
それがあの通り世界的スケールの製薬会社になったのですから
中国でも必らず同じことが起ると考えて、
どこがその有力候補なのか、
あれこれ物色したことがあります。

でも西洋医学の歴史がまだそう長くはなく、
多少名の知られた製薬会社でも
自分で本格的な研究所を持っている所は少く、
既に特許の切れた特効薬をつくるか、
外国の有名ブランドの代理店をやっている程度で、
しかも売価を政府に抑えられて
四苦八苦しているメーカーも少くありませんでした。
早くから上場している製薬会社で
株価がビクとも動かないのを見てもおわかりの通りです。
こうなったら、いまは小さくても、
取扱っている薬品の筋がよくて、
販売力の強い会社を探すよりほかないと方針を変えて
目についたのが山東羅欣だったのです。

すぐ連絡をとって
秘書と2人で上海から臨沂の飛行場に辿り着いたのが
もう真夜中でした。
会社から迎えに来てくれた
まだ20代の社長秘書とホテルに向う車の中で
会社の近況をきいたところ、
会社の売上げの現状から今期の利益目標まで
スラスラと答えたのには内心びっくりしてしまいました。
「君んとこの董事長は昔、何をやっていたんですか」
とききかえしたところ
「ハイ、薬のセールスマンでした」
なるほどと思わず納得が行きました。


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2008年8月28日(木)

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