中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3099
株はこういう環境からはじまった

株はオランダではじまったと言われています。
チューリップの株を1株ずつ分けることから
はじまったと説明されていますが、
私は船に外国で売れる商品を積んで
アフリカからアジアまで売りに行き、
そこで荷を処分してつくったお金で
ヨーロッパで高く売れる商品を買って帰ってくる海外貿易は
うまく成功すれば大へんな利益をもたらしてくれました。
しかし、貿易船は台風にもあうし、海賊にもあうし、
瞞されて元も子もなくして困ることもあります。
1人で船から商品まで買って無事に帰って来られたら、
一躍して億万長者ですが失敗した時のことを考えたら、
10人で共同して資本を出すのが危険の分散になります。
10回に分散して賭ければ、2回や3回パアになっても、
もっと大きな財産になって戻ってきます。

オランダ人はダッチ・アカウントとか、
ダッチ・ワイフという言葉も遣っているくらいですから、
ケチと商才にたけているし、
インドネシアを植民地にしたくらいですから
貿易風に乗る商売の先駆者として
自由貿易の旗手をつとめています。

同じ一つの商売をやる場合でも、お金を儲けることと
危険分散をすることをうまく組み合わせることを
思いついたのがオランダ人なのです。
それがすべてのビジネスに利用され、
出資をしたい人からお金を集めて、
うまく行ったら儲けを分け合うようにしたのが
今日の株式会社の原形であると私は理解しています。

もしそうだとしたら株とは儲けと危険の綱引きの中で
どうやって自分の財産をふやして行くかを目的とした投資、
もしくは投機ということになります。
何が安全で何が危険かは人それぞれの見方によって違いますが、
一番の目的はそこから安心して多くの利益を得ることです。
株を買うのはより多くの収入を得ることですから、
昔々は株の値上がりよりも
いくら配当金がもらえるかということが最大の目標でした。
株価に対して配当はいくらあるか、
つまり利回りはいくらというところから
株式投資がはじまったのです。


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2008年9月3日(水)

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