中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3100回
利廻わりで株の買える時代が再来

私が株の勉強をはじめた今から50年程前は
兜町に成長株という考え方がありませんでしたので、
株を買う時は「その株の利廻りはいくらですか?」
というところからはじまりました。
1株額面50円の株で年2割の配当があれば
年に10円の配当になります。
もしその株に100円の株価がついておれば、
100円で買って10円の配当金をもらえますから、
10%の利廻わりということになります。

戦前から戦争直後にかけて、
銀行の1年物定期預金の利益は6%でした。
当時はまだ今日ほど株式投資が普及していませんでしたから
株の配当利廻わりは定期預金の利廻わりより
少し高いのが常識でした。
したがって次期の配当が10円になりそうなのに
株価はまだ100円だとしたら、
将来、160円まで買い上げられる可能性がありますから、
安いということになります。
反対に減配する可能性が強いのに株価が高値に維待されておれば、
そこで空売りをする人が現われます。
売るか、買うか、
は将来の各企業の業績の変化をどう見るかによって動きます。
ですから株をやる人は、
利廻わりの変化を中心として
株価が安いか高いかを判断したのです。

最近の中国株の株価を見ていると、
利廻わりを全く無視して一率に下げています。
もっと経済環境が悪化するという見方に立って
猫も杓子も売られるので、
何と利廻わりが定期預金の利率を
上廻わる銘柄が次々と出てきました。
経営者がいくら配当金を振り込むかが問題ですが、
株価が7.8ドルで、
1株あたり78.8セントの利益をあげていた企業が
2ドルまで叩き売られています。
もしこの会社が20セントの配当が続けられるとしたら、
(実際は半分になるかも知れませんが)
株価収益率は2.5倍で、
配当利廻わりは10%ということになります。
この計算で行くと、
利廻わりが5%とか8%になる企業も珍しくなくなります。
利廻わりで株が買える時代が再び来たのです。
それでも経済環境はもっと悪くなるだろうと考える人たちが
株を投げていますが、
あなたはどちらの物の見方に賛成されますか。


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2008年9月4日(木)

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