中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3102回
インカムゲインにキャピタルゲインのおまけ

成長株買いが投資家たちの常識になると、
配当金をもらうよりも値上がり益を目指す人が
ふえるようになります。
インカムゲインとキャピタルゲインの2つの収入のうち、
利廻わり採算で株を買っていた時代は
配当をもらうことに重点をおきましたが、
成長株買いがはじまると、
利廻わりを無視してドンドン高値の後を追うようになって、
利廻わり採算は悪化の一路を辿りましたが、
代わって株が値上がりすれば、
利廻わりどころの騒ぎではありませんから、
利廻わりが1%しかなくても株価が倍になれば、
株式投資は魅力的なものになります。
かつては増資と言えば額面でやるのが常識だったのに、
その次は時価で割り当てるのが当たり前になり、
株価が高い方が株を上場している会社にとって
資金の調達がやりやすい環境になってしまったのです。

となると、ビジネスをやって企業が収益をあげるより、
株を上場して高い株価をつけるように努力する方が
金儲けになるという環境が生まれ、
その弊害が新しい社会問題になっています。
先進国だけでなく、
中国やベトナムやインドのような
新入りの株式市場でもそうした弊害がつきまとい、
その度に投資家たちは生命の縮まる思いをさせられています。
でも悪材料出尽して、株価水準が底をつけると、
悪貨が良貨を駆逐するのではなくて、
悪貨も良貨も一緒になって底に沈むのです。
つまり本物と贋物の識別のできる人にとっては
寶探がしのまたとないチャンスが訪れているということです。

現に中国株の利廻わり採算買いが可能になるほど
株価が下げたということは中国の株式市場が
十年前の環境まで押し戻されたようなものですから、
インカムゲインとキャピタルゲインの
同時つかみ取りのチャンスがめぐってきたようなものです。
仮にキャピタルゲインのチャンスがまだまだ先だとしても、
インカムゲインだけでも息がつけるところまで来たのです。
成長経済はまだ第二期に入ったところですから、
成長株買いがまだそのうしろに控えていると私は見ています。


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2008年9月6日(土)

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