中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3103回
もう一度、ナンピンは気長に、分割払いで

株をやる人は素早い対応を要求されます。
人からきいた話であれ、自分が考えたことであれ、
こうと思ったら買うか、売るか、
すぐにも実行に移さないとあとで後悔します。
ですから、株をやる人はどうしてもせっかちになります。

現に株を持っているということは、
上がることが念頭にありますから、
株が下がりはじめても
なかなか自分の頭を切り変えることができません。
上げて儲けて、下げても儲けてなんて
器用なことなんてなかなかできるものではありません。
ですから株式市場が強気から弱気に転じて
ダウが下げはじめて自分の買値を割るようになると、
大抵の人が身構えてナンピンをかける姿勢に転じます。
分けても常識をこえるような株の下げ方が起ると、
あわててナンピンをかけます。

昨今のようにサブプライム・ローンの総崩れからはじまって、
ローンの解約が天下の形勢になると
背に腹は変えられなくなりますから、
投資銀行や投信が値段かまわず売りに出ます。
この間まで30ドルもしていた株が15ドルまで下がったら、
同じ株を持っている人ならすかさずナンピンをかけます。
すると2、3日でいくらか戻して
「やれやれ、よかったなあ」
と胸をなでおろしていると、また同じ投げがはじまり、
今度は10ドルを割ります。
こうしたことは機関投資家の投げ売りが終わるまで続きますので
30ドルが5ドルになってしまった例が少くありません。

そんなことになるとわかっていたら、
急いでナンピンなんかかけるんじゃなかったと
後悔しても間に合いません。
せっかちに対応する習慣を身につけていたことが
仇になってしまうのです。
ですから、ナンピンをかけるのはいいけれど、
何回にも分けて分割払いにしないといけないと言ったのです。
鉄砲玉がなくなってからでは
いくら地団駄踏んでも間に合いません。
一番肝心なところで大へんな勉強をさせられた人も
結構多いんじゃないでしょうか。


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2008年9月7日(日)

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