中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3104回
借金をしてナンピンをかけてはいけません

株価が登り坂の時もそうですが、
昨今のようにナンピンをかけたい気持にかられる時も、
手元に資金がないことでジリジリします。
それこそ「女房を質に入れても」
キャッシュの欲しくなる時です。

そういう人たちのために日本では信用売買の制度があります。
現金のない人は株券を担保に入れて
一定額の現金を用立ててもらって
株の売買をすることができます。
こうなると株式投資は投資でなくなって投機の世界に移ります。
私は信用売買をやったことは一度もありませんが、
うちの家内は証券会社のセールスマンにすすめられて
一度だけ日経会の株を1000株信用買いをしたことがあります。
結果は10何万円か損失を蒙って手じまいをしましたが、
「何が信用銘柄ですか。全然、信用ないじゃないの」
と捨てゼリフを残したのがいまも私の耳に残っています。

のちに私が他人様の相談に乗るようになった時、
株で痛い目にあった人に何人も出会いました。
なかには嫁入りを半年後に控えた
娘さんの結婚資金を株に入れあげた上、
その株を担保に入れて信用買いをしていた人もありました。
また不動産の支払いにあてるお金を一時流用して株を買い、
値下がりして売るに売れないで難儀をしている人もおりました。
いずれも借金をして株に入れあげたのが
抜き差しのならない状態におち入ってしまったのです。

ですから、「株式投資の三原則」というのをつくった時、
私は「借金をして株をやるな」をその最後に持ってきました。
借金をして株をやると気が焦って平静な判断ができなくなります。
気長に、いつまでも辛抱のできるお金でやらないと、
株で成功することはできないのです。
株が上昇過程にあって
目が醒める度にお金の儲かっている時でもそうですから、
ナンピンで痛めつけられている時はなお更のことです。
損を取り返したい一心でナンピンをかけるために
借金をするのはもってのほかです。
借金をする代わりにジッとガマンの子が正しいのです。


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2008年9月8日(月)

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