中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3108回
ドルで持っておれば必らずそのとばっちりを

ドルを印刷して国家予算と景気を
維持して行けるようになると、
アメリカ人は誰もが失業に備えて節約をしたり、
貯蓄をしなくなって、
お金を使う方にまわってしまいました。
その上、自分たちで物をつくることをやめてしまい、
外国でつくった安い物を輸入して自分たちは
流通とサービスの過程で稼いだお金だけで
暮らすようになります。
日用品まで輸入に頼るようになれば、
輸入品の代金を支払わなければなりませんが、
輸出や海外投資がそれをカバーできなくなると、
対外借金は年と共に天文学的数字にのぼってしまいます。

もし外国人がそのお金を
自国紙幣に替えてくれと要求すれば、
ドルはたちまち大暴落してしまいます。
またもし外国人がそのお金で
アメリカの不動産や株を買えば、
アメリカの資産のかなりの部分が
外国人の手に移ってしまいます。
アメリカの政府は外国の政府と交渉して
アメリカの国債に投資してもらっていますが、
それを越える資金に対してはアメリカの金融業者が
「資金の運用をしてさしあげましょう」
と言葉巧みに運用を引き受け、
逆にその資金を使って自国内のM&Aだけでなく、
日本をはじめ世界中で有利な投資にさし向けています。

それが成功裡に運用されている間は
あまり問題はありませんが、
金の儲かる仕事はそんなにたくさんはないし、
経済には周期的な変動がありますから、
十年前のアジアの金融危機のような環境に遭遇すると、
資金と資金の泥試合で国際的なピンチに巻き込まれます。
何とか危機を逃れても、
同じようにアメリカが赤字とドルの増刷で
身すぎ世すぎをする限り、
同じことがまた必らずくりかえされます。
日本の不動産ブームでなくて、
世界中のお金を集めてアメリカの不動産で
バブルを発生させればかつて日本で起ったような
惨事が必らずくりかえされるにきまっています。
それがいつはじけるかわからなかっただけで、
必らず起ることは目に見えていました。
ドルを持っていれば、いつか必らず
そのとばっちりを受けるのです。


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2008年9月12日(金)

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