中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3109回
ドル投資は避けて通りましょう

アメリカの「双子の赤字」が続けば、
ドルの濫発はとまりません。
ドルの濫発が続けば必らずドルの目減りが続きます。
それならドル建てで物を売買するのは
やめようじゃないかということになりますが、
ドルが世界通貨として決済に使われている限り、
そう簡単にはやめることができません。

日本にしても、中国にしても、
アメリカにたくさん物を売っていますから、
貿易黒字が続く限りドルがどんどん手元に貯まります。
それに平行して石油が値上がりすると
産油国にも同じように猛烈な勢いでドルが貯まります。
どこの国も手元に残ったお金でアメリカの国債を
一番たくさん買っていますし、
それでもあまったお金は
アメリカの銀行や投資会社を通じて
アメリカの企業をはじめ、
世界中のこれはと思う有望企業に投資しています。
いずれもドルを基準とした投資ですから、
ドルが下落すると、アメリカ人に負けず損失を蒙ります。
ですからドルの値打ちを維持することについては
アメリカと同じ立場におかれ、
どこの国の政府も協力を惜しみません。
「腐ってもドル」ですから、
「ドルの危機」が叫ばれても、
しばらくするとまた落着きを取り戻して
同じような体制が続きます。

サブプライムによる損害が一わたり整理されると、
これまでと同じような情勢に戻ります。
しかし、人が年をとるように
アメリカ主導の経済体制も少しずつ老化して、
いままでのところは十年周期でしたが、
あるいはもう少し短縮したサイクルで
ドルの凋落が再発することが考えられます。
その場合、 ドルが後退して人民元がすぐそれにかわる
というようなことにはならないでしょうが、
「統一のあとは分裂」というのが歴史の常識ですから
中国や日本を中心としたアジアのブロックとか、
ユーロを基軸としたヨーロッパのブロックが
いくつか抬頭して雌雄を決する時代が
しばらく続くことが考えられます。
ですから投資をする場合も、
ドルが更に一段と弱体化することを
念頭において投資先を選ぶべきです。
私ならドルの支配する世界は避けて通ります。


←前回記事へ

2008年9月13日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ