中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3107回
ドルを稼ぎすぎるとドル中毒に当ります

ドルはアメリカの通貨ですが、
アメリカの経済力が図抜けて強大だったために、
国際間の決済をする国際通貨としての役割もはたしてきました。
アメリカの貿易収支が健全でドルが世界中から
信頼されていた間は、通貨としての信用もあり、
さして問題はなかったのですが、
第一次石油ショックを契機として、
国家財政と貿易収支の双子の赤字に居座られるようになると、
ドルは金本位制といよいよ無関係な存在と化し、
アメリカの都合でいくらでも
増刷されるようになってしまいました。

早い話がアメリカ国内に石油資源があっても、
ドルを印刷して産油国から石油を輸入すれば、
自国の資源を温存することができます。
1バレル2ドルだった石油が12ドルになろうと、
それが更に20ドルになろうと、
印刷するドル紙幣に0を1つふやせば、
全く同じ手間と同じコストで
石油を手に入れることができます。
それは国の借金として残りますが、
でも石油が1バレル100ドルを越すようになると、
2ドルで買った石油も20ドルで買った石油も
うんと安い買物だったことになります。
ドルをつかまされた方こそ
有難迷惑だったことになります。
ドルを稼いだ国はドルを稼ぐ前より
ずっと金持ちになりましたが、
日本の例を見てもわかるように、
バブルがはじけてかつて予想もしなかったような
ひどい目にあわされました。
「ドルを稼いで罪あり」
と私は文章に書いたことがあります。

ですから十年前にアジアで金融危機が起った時も、
「これはアジアの国の不始末ではなくて、
世界を駆けめぐるドルの仕業だ」
と指摘しました。
設備資金を海外からの投資の代わりに、
銀行からの短期資金に頼れば、
金融市場を攪乱されただけで、
国までが金融危機に見舞われます。
それがどういう形で起こるかはわかりませんでしたが、
火元がアメリカであることははっきりしているので、
日本で起り、東南アジアで起ったようなことが
必らずアメリカでも起ると予言したのです。
詳細は「マネーゲーム敗れたり
のコラムをごらんになって下さい。


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2008年9月11日(木)

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