中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3111回
ドル騒動は必らず再発します

いま世界中で1番ドルをたくさん貯め込んでいるのは
産油国と、もう1つは工業製品を輸出して外貨を稼いでいる
中国や日本などの貿易黒字国です。
産油国は石油を輸出して受けとった代金が
王様たちや国の独裁者たちのふところに入るので、
自国の通貨に換える必要がなく、
そのまま投資や運用にまわされますが、
中国や日本の場合は輸出をした業者が自国通貨に兌換して
国内で支払いにあてなければなりませんから、
輸出した分だけ国内通貨がふえ、
過剰流動性をひき起します。
従ってオイル・マネーと工業生産国の貿易黒字は
影響の仕方に大きな違いがあります。

産油国では受け取ったドルをそのまま銀行においておいても、
金利くらいしかお金を生みませんが、
回教国の場合はコーランで金利をとることを禁じておりますから、
他の国に持って行って
利益を生む事業に投資するよりほかありません。
オイル・マネーを1番たくさん動かしているのは、
もちろん、アメリカの銀行や投資機関ですが、
そのとっかかりをつくったのはマレーシアの銀行です。
資本主義と最も緊密なかかわりのある回教国はマレーシアですから、
マレーシアの銀行が先ず金利以外の名目で
お金をふやすシステムをでっちあげ、
それを見たシンガポールの銀行、
続けて香港の銀行が
オイル・マネーと深いかかわりを持つようになったのです。
従ってサブプライム・ローンによる損害を蒙ったのも、
公表こそされていませんが、
当然そうしたかかわりの深い金融機関にきまっています。

それに比べると、
アメリカ人に工業製品を売ってドルを稼いだ日本人や中国人は、
産油国の人たちと同じ投資の仕方をするわけがありません。
金で金を儲けるような事業には手を出さないと思います。
そのへんの違いが次の世界を大きく二分します。
はたして産油国の政治体制がいつまでもつのか、
はたして石油資源がそれまでもつのか、
誰にも予想がつきません。
でもあと10年もしないうちにドルをめぐる騒動がまた起ることは
先ず間違いないでしょう。
長期投資をする人はいまからその時に備える必要があります。


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2008年9月15日(月)

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