中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3112回
ジャパン・ダラーはどちらに向う?

アメリカの投資銀行や投信のトップの人たちは
世界中のお金持ちのところへ日参します。
オイル・マネーの王様や
ロシアの実力者の応接室に行く方が
世界の金融をいまどんな人が牛耳っているかよくわかります。

ですからサブプライム・ローンの被害を
オイル・マネーが受けていないわけはありません。
恐らく一番大きな損害を蒙っているでしょうが、
いままで投じたお金が大きな損を出しても、
石油が大へんな値上がりをして
いくらでも新しいドルがころがりこんできますから、
さして痛痒を感じずに、
また新しい投資に応ずることができます。
とりわけ倒産寸前まで追い込まれているのは、
アメリカとヨーロッパの銀行や投資信託ですから、
会社ごと買ってくれませんかと持ち込まれる商談は
1つや2つではない筈です。

でも、産油国にはお金はあっても
会社を運営する人材はそんなにいません。
結局は新しい経営者を迎えるか、
トップはそのまま残して、
大株主だけ入れ代わる経営に代わることになります。
結果としてアメリカの大企業、
わけてもお金を動かしてお金を儲ける
金融や不動産や株式という分野は
産油国の資本に支配されることになります。
大統領だってアフリカ出身の人に
番がまわってくるくらいですから、
産業界がアラブの系統に入れ代わっても
別に驚くことはありませんが、
国際化を先頭に立って押し進めてきたアメリカで
ナショナリズムが抬頭する時が近づいているのかも知れません。

同じように工業製品を売って
ドルを稼いだ日本や中国が
産油国と同じ挙に出るかというと、
恐らく道は2つに分かれると思います。
はじめてドルを稼いでその処置に往生した頃
ジャパン・ダラーはアメリカの不動産に向いましたが、
完全に失敗してほうほうのていで日本に逃げかえりました。
恐らく今後も日本のドルが
オイル・マネーの後塵を拝するような挙に出ることは
先ずないと思います。


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2008年9月16日(火)

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