中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3113回
海外収益がふえたと言うけれど

日本人の稼いだドルは汗水垂らしてつくった工業製品を
外国に売って手に入れたものです。
そのドルを日本銀行に売り渡して手に入れた円で不動産を買うと
不動産が大へんな値上がりをしました。
ですからドルを貸してやるから
アメリカで好きなようにやりなさいと言われたら、
日本人はそのドルを持ってアメリカに行って
土地や建物などの不動産に投資しました。
東京で起ったようなことが起ると思ったら、
広大なアメリカではいくらお金を投じても
広い土地の中にのめり込んで行くだけで
土地が値上がりするどころか、
その中に埋もれて消えてなくなってしまいました。

そうした苦い経験があるので、
ドルが貯まったから、
もう一度やってごらんと言われても、
アメリカの不動産を買う日本人は先ず見当らないでしょう。
アメリカどころか、中国だって
恐らく日本人は二の足を踏むでしょう。
では日本人はこれから貯まるドルを何に投ずるのでしょうか。
日本人は自分たちがやったことのないことをやることを
とても恐れます。
外国人の中に割り込んで、
その国の人がやることをやって成功する人は先ずおりません。
ですから鉄で世界一、石油化学で世界一
という仕事をやっていても、
自分で鉄の鉱山を開発したり、
石油を掘って原料を確保するという
分野に手を出す人は先ずいません。

原料はお金を出せば手に入るんだから、
自分たちが得手としているところだけやればいいじゃないか
と先ず思ってしまうのです。
ですから、自分たちが日本国内でやっている技術と資本を持って、
もっと安いコストでつくれる外国に行って、
同じことをやるのならできますが、
自分たちがやったことのないことには二の足を踏んでしまいます。
ですから石油が値上がりした、
石炭が値上がりしたということになると、
たちまち頭を抱えてしまいます。
ですから海外からの収益がふえたといいますが、
日本でやっているのと同じことを
海外でやるケースがふえたからであって、
日本でやったことのないことをやって
稼ぐようになったからではありません。


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2008年9月17日(水)

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