中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3160回
段ボールは不況に弱い業種でもないのに

もう底値に近いんじゃないかと自分でも思い、
人にも言って、
買える可能性のありそうな下値で指値買いを入れると、
全部買えてしまうような暴落が連日続いています。
百年に1度の大暴落と言いますから、
私も経験したことのない珍現象が起っていますが、
私はそんなに心配はしていません。
新聞に載っている株価の位置が変わっただけで、
株価の向うにある企業の実態にほとんど変化がないからです。

そういう場面もあるだろうと考えて、
私は小出しにナンピンを続けていますが、
大暴落のプロセスでどうしてこんな株が
こんな値段まで売り込まれるんだろうか
と腑に落ちないことが何回もありました。
たとえば玖龍紙業とか
理文造紙のような段ボールの生産工場の株価が
高値から10分の1どころか、20分の1まで叩き売られています。
玖龍紙業は高値が23.65元、1株当りの利益が0.492元
それが0.72元まで叩き売られて、
私の拾った安値が何と0.79元ですから、
納得できない人はたくさんいる筈です。
また理文造紙に至っては高値が37元、
1株当りの利益1元という高収益会社の株が
何と1.6元まで売り叩かれています。
どうしてそんなことが起るのか、
香港の新聞の解説によると両社共借金が多すぎて
金ぐりができない心配があるからだそうです。
借金が多いと言っても、資本金を少々越える程度で、
成長経済時代の日本の企業が
平均して15%の自己資本しかなかったのに比べれば、
雲泥の差です。
それでも銀行に金を返せと言われたら
返済不能におちいって引っくりかえる心配があるということは
日本に比べて中国の銀行が如何に面倒見が悪いか、
また金融機関として如何に遅れているかを立証するものです。

玖龍や理文がはたしてうまくピンチを乗りこえられるかどうか
私にもわかりませんが、
そのへんの賭けでスリルを味わうのが
中国株と日本株の違うところと言ってよいでしょう。
あなたならどちらに賭けますか。
段ボールは不況に落ち込むような業種ではないと思いますが。


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2008年11月3日(月)

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