中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3161回
無配会社がふえた本当の理由

段ボールの株に対する叩き売りは日本では先ずあり得ないことです。
どこの企業にもメインの銀行があって、
銀行がしっかり支えてくれるからです。
ところが、中国の銀行は長期資金の融資にも応じますが、
明らかに長期資金であっても、一年期限で融資をし、
期限が来たらまた一年という
書き換えを要求するのも珍しくありません。
すると、環境の変化によって
書き換えを拒否されることもありますから、
お金を借りるために
常に2社の銀行と話をつけておく必要があります。
そんな面倒なことは私の手には負えませんので、
私は中国で融資を受ける場合も、
長期分割払いに応じてくれる香港系銀行の中国支店を選びます。

中国で事業を展開している上場会社は
そういう選び方ができるとは限りませんから、
昨今のように銀行が融資の引き締めをする時代になると、
書き換えに応じないこともあります。
ですから、どこの事業会社も万一の場合を考えて
必要以上に金ぐりに神経を使うようになります。

日本人から見ると、ちゃんと利益もあがっているのに、
どうして配当も出さないんだと文句の一つも言いたくなりますが、
経営のトップが大株主であるにも拘らず、
無配当にしてしまう中国の上場会社は1社や2社ではありません。
うっかりして銀行に引導を渡されるくらいなら、
配当金を運転資金にまわした方がいいと
大事をとる事業会社がふえる方向にあるのです。
中国はアメリカやヨーロッパほど不況になっていませんが、
無配を選択する企業が多いのは
こうしたことが原因になっています。

こうした傾向に対して監督官庁も見かねて
「現金配当をするように」と警告を発していますが、
産業界がそれに応じなければ、
利益の何十%は必らず配当をするようにという
規定がつくられることもあるかも知れません。
でもそれは本当を言えば
中国の銀行制度の欠陥がもたらしたものなのです。


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2008年11月4日(火)

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