中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3162回
成長企業でも目先は金ぐりの心配

私はお金の流れの変化が産業界に及ぼす影響については
割合に神経を使っています。
ですから、人民元が切り上げの方向にあることと、
原材料と人件費の高騰が進めば、輸出産業には不利に働くから、
繊維の加工をしている業種とか家電産業などの輸出産業からは
なるべく遠ざかるように、
反対に消費に見合う産業で輸入と関係のある業種はないかと
目の色を変えて物色を続けました。
すると、化粧品や雑貨に加えて食料品の大量輸入で
年々、好業績を積みあげている
亨泰消費品という銘柄が見つかりました。

調べて見ると、
タイ国で生鮮食品を冷凍にして
広東省や上海や大連に持ち込み、
ウォルマートやカルフールのような大型スーパーから
小売店にまで配送し、
年々50%から70%もの成長を続けています。
資本金は僅か1400万香港ドルですが、
その100倍近い積立金を擁しており、
1株当り13.3セントの利益をあげています。
それでいて1ドル程度の株価でしたから
「これはいける」と暴落前の時点で
将来性のある株の1つに位置づけました。
6月決算ですから、
2008年度は利益も3割方あがるときかされ、
1株当り0.17セントの利益があがるとして
株価収益率10倍で計算したら、
まだかなりの上げ余地ありと思ったのです。

そこで香港まで訪ねて行って
本社のトップ3人に説明会もひらいてもらったし、
続いて10月にはわざわざ上海までお越しいただいて、
上海の集配センターで配送の現場も見せていただきました。
業績の伸びも予定通りで次年度も計画通りに進んでいるのに、
香港に行った時の株価が50セント、
上海で現場を見学した時は何と35セントまで下げていました。
それでも私は配当をするよう要請し、
董事長さんも一応は承知しましたが、
発表された内容を見ると、
売上げや利益は予定の通りでしたが、
配当はありませんでした。
きっと金ぐりに対する全役員会の危機感に押されて
トップの意向も陽の目を見なかったのだと思います。
それほど資金ぐりの心配をする立場に
中国の経営者全体がおかれているのです。


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2008年11月5日(水)

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