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第3163回
やっと香港銀行群の損害が公表に

私が、「もう底に近いと思いませんか」という一文を書いたのは
実は2週間も前のことですが、
発表をためらったのは香港筋の金融機関の損害が
まだ表面化していなかったからです。

香港とシンガポールはアジアにおける英語圏で、
日常英語が通用するだけでなく、米ドルが地元の通貨に
負けず劣らず親しまれている土地柄でもあります。
現に香港の銀行が扱っている預金や取引だって
ドルは香港ドルに負けませんから、
アメリカで起っている異変が香港に及ばないわけがありません。
しかし、悪い噂はひたかくしにかくすのが通例ですから、
どこの銀行からも、サブプライム・ローンで被害を受けた話は
一切きこえてきませんでした。

でも私は多分、ホンコン・シャンハイ・バンクが
一番大きな損害を受けているのではないかと憶測していました。
どうしてかというとシンガポールの銀行についで
オイル・マネーを一番大きく運用しているのは
ホンコン・シャンハイ・バンキング・コーポレーションであり、
それが昨年の夏頃でしたか、
株価が1日で5ドルほど値下がりしたことがありました。
ホンコン・シャンハイ・バンクは香港の大黒柱であり、
それが2ドル動いても大騒ぎになります。
それがいきなり5ドル動いたので何事かと耳をそば立てたら、
投資を任せている2軒の子会社が資金不足を来たして
300億米ドルほど追加補充することになったと
発表がありました。

私はすぐにホン・シャンの損害は日本円にして
とりあえず3兆円ほどだなと受けとめましたが、
それ以後は全く発表がなく、日を追ってアメリカ発金融不安が
もっとずっと大仕掛けになりましたから、
損害は更に大きくなっている筈です。
それが先々週、私が香港にいた時に、120ドルしていた
ホン・シャンの株が1日で88ドルまで大暴落したのです。
これでホン・シャンがどの程度やられたのか、
凡その想像がつくと思います。
東亜銀行は35億香港ドルと発表していますが、
もちろん、香港中の銀行がその後に行列をつくっています。
やっと覚悟の公表ができるところまで辿りついたのです。


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2008年11月6日(木)

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