中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3164回
産業界まで及んだ為替差損が一段落すれば

リーマン・ブラザーズ証券の倒産によって
香港の投資家たちが受けたミニ・ボンドの損害が
120億香港ドル(約1800億円)と発表されていますが、
銀行の手持ち分もありますから、
もちろん、香港の銀行もかなりの被害者です。
それ以外のボンドもあるし、アメリカの金融機関との貸借りもあるし、
香港の受けた被害は日本の金融機関や投資家が受けた被害とは
比較にないくらい大きいのではないでしょうか。

そればかりでなく、更には香港に上場している中国企業も
大なり小なりその被害を受けています。
なかでも香港で最も有名な中国系投資企業の大手中信泰富は
為替相場の失敗で150何億香港ドルの損害を出し、
総経理が他の公職を一切辞退するという大騒ぎになりました。
株価も15ドル(最高値は50ドル)からたったの4.35ドルまで
転落しましたから、香港の投資家たちの受けたショックが
如何ばかりだったのか、想像できるのではないかと思います。

為替相場での損失は石油会社や鉄道会社にまで及び、
最近の中国企業が外貨と深くかかわるようになったことを
物語るものですが、もちろん、中国銀行香港をはじめ中国系銀行も
大なり小なりサブプライム・ローンのとばっちりを受けています。
その損害の一番大きいのは何と言ってもアジアでは香港で、
その実態の大半が公表され、それが株価に反映されれば、
更にもっと悪いニュースが出て来ない限り、
そろそろ底が見えてきたということではないでしょうか。

アメリカの金融不安はアメリカで次々と政府の救済案が
発表されていますが、それが功を奏するには
まだかなり時間がかかります。
恐らく金融不況が実態経済にまで及ぶことは
避けられないでしょう。
しかし国によって受ける影響が違いますから、
やがて香港や上海や、そして東京や台北の証券取引所も
ニューヨーク証券取引所と連同しない動きに
なるのではないでしょうか。
そうした動きが珍しくなくなれば、
アジアの経済は恢復に向かうと私は見ています。


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2008年11月7日(金)

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