中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3232回
中国で働くなら先ず言葉を覚えてから

自分の仕事や仕事場を選ぶためにも、
なるべく広く世界を見る必要があると考えて、
私は2ヵ月に1度くらいの割合で、
考察団を組織して、中国をはじめ、
東南アジアからインド、ロシアまで足を伸ばしています。
モスクワとペテルスブルグに出かける
考察団に参加した団員の1人に
西陣でキモノと関係のある家に生まれた青年がいました。
自分の家の家業について説明をした上で、
「家業をついだものかどうか迷っています」
と私に相談を持ちかけました。
「僕ならもう30年前に廃業しています」
と私はすかさず答え、
友人の中で西陣で勢いのよかった人たちが
どんな運命を辿ったかを説明しました。

それには本人も大へんなショックを受けたと見えて、
家に帰るとすぐに身辺の整理をして
上海にとび出してきました。
新しい仕事場を見つけるにしても、
言葉を覚える必要があります。
私は上海に中国人が日本語を覚えるための
日本語学校を経営していますが、
同じ教室で上海にいる日本人に中国語も教えています。
志のある若い日本人のために、夜は日本語を教えながら、
昼間、中国語を習う道をひらいていますので、
すぐそこへとびこんで
1年あまり日本語の教師をつとめました。

教えるということは習うことでもありますから、
日本語の片言もできない中国人に日本語を教えれば、
自分もいやでも中国語を覚えることになります。
1年もすると、中国語もかなり覚えたし、
何よりも生徒たちに評判がよくて、
私が本人の希望をきいて次に働くところを紹介して
新しい職場に移ることになると、
生徒たちからとても惜しまれて
心残りのするシーンもありました。

彼が新しく選んだ職場は
北京に次々と店をひろげている
イトーヨーカ堂やセブン・イレブンに
新しくケーキやサンドウィッチやシュークリームを
製造して納入する工場の総経理の片腕をやる仕事です。
いま本人はやる気十分で
とても張り切っているときいています。


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2009年1月14日(水)

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