中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3234回
「農業が日本を救う」のご一読をお奨めします

「チェンジ」というスローガンを掲げて、
アメリカでもオバマ大統領が誕生しましたが、
世界中が大きく変化する時期にさしかかっています。
日本も中国ももとより例外ではありません。

とりわけお金儲けは
社会の次の変化をうまく読むことからはじまるので、
私はいつも神経をとがらせて新しい変化を見守っています。
中国の工業化が進んだら
そのうちに中国で食糧不足が起るだろうとか、
経済が発展して多くの人が豊かになって行くプロセスで
老齢化が進むだろうことも、
いずれももっとずっと先のことですが、
先を読んで今から手を打っておかなければ、
間に合いません。

そう考えながら、
東京に帰ってきて本屋の書棚を見たら、
財部誠一さんの書いた「農業が日本を救う
という本が目についたので、
早速買って帰ってその晩のうちに読破してしまいました。
今更、農業なんてと思う人もいると思いますが、
今年は中国の大規模農業をどう見るかが私の新しいテーマなので、
2月、4月、6月と既に上場会社のスケールになった
中国企業の現場の見学予定も建てています。

日本の場合は工業化に成功したので、
農業の合理化がすすまなくても、
不足する食料の支払いに困らないですんでいますが、
日本の農業政策と同じことをやれば、
中国は大へんなことになってしまいます。
小作人を自作農に変えたことと、
農協に農作物の流通を任せたことと、
農民票をとるために大規模農業を禁じたことが
日本の農業の発展にどれだけブレーキをかけたか、
この本を読むと一目瞭然です。

財部さんは流通と加工に従事する大企業から逆に攻めれば
日本でも21世紀最大の成長産業になるだろう
という考え方のようですが、
日本の農業技術をアジア的スケールで企業化する方が
実現可能だなあという読後感を持ちました。
アジアの未来に関心のある方はぜひご一読をおすすめします。
(PHP研究所刊、定価1500円税別)


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2009年1月16日(金)

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