中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3242回
パンとケーキは赤の他人というけれど

私はパン屋とケーキ屋が同じ棚に並んでいたり、
コーヒー屋でサンドウィッチやケーキを出したりしているのを見て、
同じ系統のビジネスときめつけないまでも、
親戚同士くらいと思っていました。
ところが、それぞれの職業に従事している人にきいて見ると、
親戚どころか、赤の他人だという人までいて、
とてもびっくりしました。

たまたま私のパートナーをご自分から買って出てくれた人は
パン屋とケーキ屋と両方やっていましたが、
工場をつくるにあたって
パンの工場とケーキの工場はきちんとしきりをして
それぞれ独立した仕事場にしていました。
それぞれ醗酵菌も違うし、
どちらに入られても
できるものが違ったものになってしまうと言うのです。
なるほどそうした目で見ると、
隣り同志で並んでいても、作り方も違えば、職人も違うんですね。

でもコーヒー屋をやっていると、
コーヒーを飲む人がケーキを食べることもあれば、
サンドウィッチとか、クロワッサンをかじる人もいます。
ケーキをコーヒーのおつまみにして、
帰りに明日の朝食べる食パンを買って帰る人は珍しくありません。
ケーキとパンとどちらが売れるか見ていると、
もし帰りにパンを買って帰る人がいなかったら、
お店の売り上げは半分以下に減って
店そのものが成り立たなくなってしまいます。

ですからコーヒー屋は食パンやサンドウィッチを売って
辛じて店が潰れないですんでいるのだと
私は勝手に思い込んでいますが、
そういう考え方はプロから見ると異端なんですね。
でも2つ合わせて店づくりをはじめた私は
原料こそ違うけれど、口に入ることは同じだし、
どちらも一緒になって売上げに功献しないと、
小さなお店は成り立っていかないんじゃないかと
いまだに自分の先入観を捨て切れないでいます。
むしろ同じケーキでも、また同じ小麦粉からつくるパンでも
お隣りの店と違うものをつくることはできないのか、
そればかり頭に浮んできます。


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2009年1月24日(土)

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