中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3244回
物が売れても片時も油断はするな

1軒目のコーヒー・ハウスをつくった時、
パンとケーキの工場までつくったのですから、
自分たちのブランチを次々とふやして行くだけでなく、
パンやケーキを売る小売店に卸して売ってもらうことも当然、
考えました。
その作業を台湾からやって来て、
この仕事をやりたいという男に任せました。

パンからケーキまで
品物によっては小売値段の2割引から5割引まで
コストによって卸値に差をつけたところ、
しばらくたつと、
割引率の大きいものがよく売れるようになっただけでなく、
原価の高いものでも勝手に値下げして売るようになりました。
それに気づいて出資してくれた日本のメーカーの主人が
得意先の挨拶をするつもりで積りで突然、出かけて見たら、
何とうちの店の店長をやめた男がその店にいるではありませんか。
本人はびっくりしてすぐ店から姿を消しましたが、
何と私たちが任命したうちの店の総経理が
私たちに無断で現地の人と結託して
何軒も喫茶店を出していることが露見したのです。
中国では店長が売上げをごまかしたり、
こういったやり方をすることは珍しくありませんが、
台湾で私のところで働いたこともある人でも
あり得ないことではないのです。
すぐに辞めてもらい本人の出資金もそっくり返えして
お出入りご免にしてしまいました。

もう一つ、支払いの条件や支払日を決めてあっても、
中国の人の中には必らず約束通りにやらない人が現われます。
デパートだから安心と思ったら大間違いで、
取引先がデパートでも同じことが起り得ます。
「どうしたらそれが防げますか」
と新しく総経理になった日本人の青年が訊くので、私は答えました。
「支払当日に約束通りに払ってくれなかったら、
払ってくれるまで店で粘ることです。
それでも払ってくれなかったら、翌日から商品をストップしなさい。
そうすると、この会社はうるさいから先に支払ってやれと
上の者が命令する筈だから。
それでも駄目な場合は、
損が未払分以上に大きくなることはないんですから。」


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2009年1月26日(月)

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