中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3245回
小商人はとても大へんなんです

いまでこそQカフェも敷地1000坪のところに
北京では最新鋭の設備を整えた
パンとケーキの新工場を持つようになりましたが、
そこに至るまでの道程は並大抵のものではありませんでした。
中国は共産主義の国というより
実質は何千年も続いてきた官僚専制の国ですから、
上の命令を錦の御旗にして 
下っ葉が威張り散らす仕組みになっています。

オリンピックの時だって粗惣のないようにというのが
上からのお達しですから、
街の小さなお店だって片っ端から罰金の対象になりました。
爆弾を持ち込まれたら大へんですから、
飛行機の中に液体の持ちこみは一切厳禁だったし、
ジュースのサンプルを郵便で送ることもできませんでしたから、
アンドレ・ジュースの第3期が
どうしてそんなに悪かったのですかときいたら、
取引先にサンプルを送り届けることもできなかったからです
という返事をもらったこともあります。

そういうなかでオリンピックの選手団の
パンやケーキをつくってくれないかと注文がありました。
それに対して、真先に拒否反応を示したのは
現場の監督官庁でした。
先ずお前んとこにそんな設備があるものかと
頭ごなしに怒鳴られ、その許可証を見せた上で、
「実はもうお断りをしましたので」
と答えると、急に態度を変えて、
「いや、断らんでもいい。
その代わり工場の各室に監視用のカメラをおき、
作業中は警察がずっと立ち会うから」
ときびしい条件をつけられました。
まさかサンドウィッチを100個や200個つくるために、
600万円もかけて監視用カメラを仕入れることもできませんので、
話はそれでおしまいになりましたが、
半年近くも北京のお店屋さんはさんざんな目にあっています。
オリンピックが終ると、次は上海の万博の番ですが、
いま上海は町中が既にごったがえしになっています。
恐らく同じことが上海でも起るでしょうが、
私たちは上海でも旧天地(私がつけた名前ですが)の開発を
していますので、きっとまた同じ目にあわされるでしょうね。
それくらいの覚悟はできていますが。


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2009年1月27日(火)

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