中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3280回
そんなに心配なことはありません

銀行はお金に困っている人に
お金を貸してくれる所ではありません。
お金の儲かる仕事を見つけた人がお金が必要になった時に
やりくりの手伝いをして、
その儲けのなかからいくらか分け前をもらうビジネスです。

ですから、
こちらがまだ儲けにあずかれない間は
全く相手にもなってくれないし、
昨今のように多くの人がお金のやりくりに困るようになったら、
お金を貸してくれるどころか、
貸しているお金まで返せ返せとうるさく言ってきます。
銀行の人が挨拶に来て
資金の面倒も見させていただきましょうと言われたら、
「あなたもどうやら1人前ですよ」
と言われたようなもので、
お赤飯でも焚いてお祝いをしてもよいと思いますが、
銀行のお金を借りたものかどうかはまた別の問題です。

高度成長の頃は土地や不動産が上がり続け、
借金をして不動産を買っても、
いざピンチにおちいって返済ができなくなっても、
抵当に入れた不動産を引き渡せば
借金をチャラにすることができました。
しかし、事業をやる場合はうまく行かないと、
機械や設備は二束三文になってしまいますから、
設備資金や支払いはすべて自己資金で賄い、
不動産を買う資金だけ
その一部を銀行から借りるという法則を守りました。
また売掛金の一部を手形で受けとるのはやむを得ませんが、
支払いは一切現金でやりました。

おかげで第一次石油ショックの時も、
バブルがはじけて土地が大暴落をした時も、
手形が払えなくなって
パンクをするような目にはあわずにすみましたが、
今回も自分の財産が大目減りに目減りしましたが、
銀行から競売にするぞとおどかされずにすんでいます。
むしろ銀行がどんな態度をとるかを見ていると、
どのくらい金ぐりに追われているのか、
映画でも見ているような見物客の心境を味わせてもらっています。
これもアメリカより一足先に
「バブルの泡」を味わせてもらったおかげですから、
日本の方がアメリカより心配が少いわけが理解できます。
産業界はかなりピンチ模様ですが、
そんなに心配するほどのことではありません。


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2009年3月3日(火)

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