中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3281回
失業対策が次の最大の社会問題に

実態経済にヒビが入るようになると、
産業界は少しでも損害を少なくするために
迅速に対策をとります。
設備投資は中断できるものは中断するし、
延期できるものは延期します。
また経費節約のために、首切りをはじめます。
真っ先に犠牲になるのは、派遣社員の解雇です。
毎日の新聞を賑わすのは失業者の数ですが、
社会問題として議論になるのも
失業対策をどうするかということです。

かつて日本的経営の美点として
終身雇用制と年功序列給が賞讃の的にされていましたが、
私はずいぶん昔から今にこれらのシステムが
産業界の重荷になると指摘したことがあります。
賃金が上昇するに従って
それが製品のコストを左右するようになりましたが、
バブルがはじけるに及んで、
高賃金と早期退職金が企業を苦しめ続けてきました。
そうした重荷を荷い続けないですむためにも、
日本の大半の企業は正社員の採用を減らし、
派遣社員で間に合わせるようになりました。
派遣社員にも雇用期間がありますが、
大抵の場合、不要になった場合、
中途解約ができる契約になっています。
ですから中途解約をしても別に契約違反にはならないのです。

しかし、これだけの大量解約が続くと、
失業者が巷に溢れて社会問題になります。
まだ治安にまで響いてはいないようですが、
海外からの労働者の解雇が同時に起って、
日本もアメリカに負けない失業者の国になりつつあります。
日本は一応、失業保険もあるし、
お互いに助け合う人間関係も強いので
そんなにきびしいことにはならないと思いますが、
政治を司る人たちに緊張感が不足しているので、
対策が遅れに遅れをとる心配が全くないとは言えません。
企業の不景気対策にしても、海外工場の縮小よりも、
国内工場を閉鎖して一番コスト的に有利な
海外工場を拡張することが考えられますから。
景気の恢復だけを待っているわけには
行かなくなる可能性があります。
とりわけ地方都市のシャッター通りの再開が
一番難しいでしょうね。


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2009年3月4日(水)

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