中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3313回
和牛の飼育も今に追い越されます

日本の霜降り肉の上質の牛を育てるのには
仔牛が生まれてから6ヶ月、
先ず百姓家で育ててもらい、
6ヶ月すぎたところで異常がないかどうか確かめるために
特別な牛舎に隔離して2ヵ月ほど育て、
更に20ヶ月ほどかけて成牛に育てあげます。
生まれてから商品になるまでに28ヵ月もかかってしまいますから、
その間、事業として牧場を経営する人は出費が続くばかりで
3年近く1文の収入もありません。

こんな仕事は農民にも耐えられることではありませんが、
収益を目標とする事業家の投資の対象にもなりません。
ですから神戸牛や松坂牛も当分は競争相手が出現しないだろう
と思っていましたが、
大連から高速道路を1時間ほど走った田舎で、
日本の黒牛を地元の牛にかけあわせて
日本に負けない上質の霜降り肉に育てあげる牧場を発見して
とても驚きました。
6年前にスタートして既に1万頭ほどの黒牛を育てあげています。
ふつうの中国の牛は1頭が精々7、8千元ですが、
ここの成牛は2万5千元に売れるそうです。

経済が成長しはじめて、所得が増大しはじめると、
世界中どこでも牛肉の消費量が増大する記録が残っています。
中国がいままさにその位置にランクされていて、
今後10年で所得が3倍になるとすれば、
上質肉の需要が10倍以上にはねあがったとしても
不思議ではないでしょう。
中国人がどうしてそういう仕事を手がけたかというと、
遼寧省の穀を日本に輸出していたことから、
日本に売るくらいなら自分たちで牛を飼ったらどうだろうか
ということになったのだそうです。

いざそうなって見ると、
藁を飼料にしていたのでは駄目で、
ちゃんとして穀物をあたえた上に、
マッサージをする機械から
ビールを飲ませる施設まで整える結果になってしまいました。
日本の技術の勝利を喜んでいいのか、
ノホホンとしていたのでは追い抜かれてしまうぞと
緊張することになるのか、
恐らくそのどちらでもあるのではないでしょうか。


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2009年4月5日(日)

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