中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3314回
生鮮野菜の流通ルートにも大きな変化

私は6、7年ほど前にトマトの栽培で有名な
永田農法の永田照喜治さんを誘って、
山東省の農村地帯でほうれん草の栽培をしている
大型農場の見学に行ったことがあります。
農薬の使用過剰で、
現地からほうれん草の対日輸出をしている業者が
輸入禁止をくらってひどい目にあわされていた頃のことです。

その頃、繊維製品を現地で加工すると、
日本の3分の1のコストですみましたが、
肉類だと6分の1、生鮮野菜だと10分の1だったので、
食料品の方に将来性があるのではないかと考えたのです。
事実、既にそういう価格差に目をつけて
山東省で野菜をつくって日本に輸出している
大型業者がいくつかありました。
つくっている商品を日本の商社を通じて
その8割方を日本に輸出していたのです。

昨年、同じ山東省にある上場会社の見学に行くと、
前に訪ねた農場の人がわざわざホテルまで会いに来てくれました。
その頃の様子をおききすると、
仕事のスケールはドンドン大きくなって、
いまでは輸出が20%、国内消費が80%の比率に
逆転しているそうです。
輸出が減ったのではなくて、
輸出の伸びをオーバーして国内消費がふえて、
比率が逆転してしまったのだそうです。
「近く上場しようかと思って目下、
プランを立てているところです」と元気一杯の近況報告でした。

大型農場の仕事がふえたのは
国民所得の向上とももちろん関係がありますが、
中国の各地に大型スーパーや百貨店の食品売場ができて
生鮮食品の流通経路に変化が起っているせいもあります。
野菜や果物や肉類を天秤棒でかついで
市場まで売りに行かなくても
消費者の手に届くようになったのです。
大型農園から大型スーパーへ、
もしくは大型加工工場への経路が新しくひらかれたのです。
7年前はどうやったら日本に輸出できるかを考えていたのが、
6、7年たって見ると
高級品を現地でどうやって安くつくるかを
考えるだけでよくなったのです。
現地で売るために現地でつくることを考えればよくなったのです。


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2009年4月6日(月)

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