中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3324回
オリジナルの実験をしたい人集まれ

中国人ほど物真似がうまくて
素ばしこい国民は見たことがありません。
日本人も決して下手な方ではなくて、
経済が成長して欧米人たちから羨望まじりで
憎まれ口をきかれた時はコピーマシンだ、
猿真似だと悪態をつかれました。
しかし、中国人はその比ではありません。
10年あまり前、私が成都市の中心街で
ショッピング・センターをつくって
イトーヨーカ堂に入店していただいた時に、
その5階の食堂街に当時、
東京で威勢のよかったハナマサに教えてもらって
1人50元で食べ放題の焼肉屋をひらいたことがありました。

焼肉屋もまだなかったし、
食べ放題というシステムもなかったので、
大へんな話題を呼び、お客さんが行列をなしました。
これなら大丈夫と喜んだのも束の間、
その繁盛ぶりを見て周囲に同じ店構えの焼肉店が10軒ほどもでき、
お1人様40元で競争を仕掛けられたので、
忽ちお客が姿を消してしまいました。
やむなくこちらも応戦して40元に値下げしたら、
いくらか客が戻ってきましたが、
儲けは差額の10元の中にありますから、
収支相つぐなわなくなって、とうとうこちらが
店じまいをする憂き目にあってしまいました。

こういうことが食べ物屋だけでなく、
工業生産から流通業からさてはサービス業に至るまで
すべての分野で起っています。
そのおかげで急激なコピーがすすみ、
あッという間に中国が「世界の工場」になったのです。
しかし、コピーで競争する時代が一通り終わったので、
どんな小さな店でも隣りの真似をしていたのでは
閑古鳥が啼くようになってしまいました。
私が上海のド真ん中にある旧天地に10坪、
20坪の小さな店をつくって、
オリジナル商品のテスト・ショップをはじめたのも、
人に喜ばれ、人だかりのする商品は何かを
実地に試して見るためです。
たかがケーキとか、シュークリームとか、
サンドウィッチであっても、
人だかりのする店と閑古鳥の啼く店に分かれてしまうのです。
嘘と思ったら現地に来て見て下さい。
店がたくさん並んでいるようでも
お客で一杯の店と誰も入らない店と二通りの店しかないのです。


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2009年4月16日(木)

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