中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3338回
牛肉の供給にも時代感覚が要求されます

いま大連の百貨店の地下食品場に行くと、
霜降り牛肉のステーキを一切れ300元あまりで売っています。
日本円にして4500円ですから
日本よりずっと所得水準の低い中国にしては法外な高値です。
それでも平気で買える人がいますが、
そういう一握りの金持ちを相手の商売を考えたのでは
必らず苦い目にあわされます。

また霜降りのステーキが売れるとしても、
その他の部分がこちらの希望する値段で売れるとは限らず、
牛の脂肪とか、内臓に至っては
老廃牛と同じような値段まで買い叩かれることも
大いにあり得ることです。
そうだとすれば、
そうした極上品のお金にならない部分を
うまく利用する商品を考えた方が
もしかしたらお金儲けになるかも知れないし、
牛を育てるより
牛肉の加工を工夫した人の勝ちだということになります。

私はすぐそういう発想をする方ですが、
その道の玄人の人たちはまた別の考え方をします。
いきなり和牛のような高価な商品を育てるよりも、
日本の各地で現に行われているように、
牛乳を供給できないために
生まれるとすぐに殺されるホルスタインのオスを穀物で育てれば、
いま中国の人たちが食べている堅い牛肉よりも、
少しは高値だけれど、
ずっと美味な牛肉が供給できるようになるというのです。
つまり途中を素っとばしていきなり極上品を狙うより、
いまより少し上の線を狙うのが商売の常道であり、
いまの中国の牛肉市場はちょうどそこまで来ているというのです。

言われて見れば、なるほどと頷けることなので、
とうとう飛行機に飛行機をついで、
更に小型バスに何時間も揺られて、
雲南省の果ての大理市のそのまた先まで、
1年にホルスタインのオスの子牛を4万頭も提供できるという
牛乳の産地まで出かけて行ったのです。
金さえあればおいしいビフテキを食べることは
いとも簡単なことですが、
金儲けの将来を探がしに行くとなると、
こんなにも大へんなものかと改めて実感されました。
それでも宝探がしは疲れを忘れさせてくれるものですけれど。


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2009年4月30日(木)

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