中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3359回
いまこそ「建て値を忘れて」出直す時です

人間は持っている株で儲かっている株については
いくらで買い入れたかあまり覚えていませんが、
損をしている株に限って
いくらで仕入れたものかいつまでも覚えています。
いまの値段で売ったら損はいくらになるかわかっているので、
思い切って売る気になれません。
もしそうだとすると、損した株だけ手元に残って、
損した株のコレクションをやっていることになります。

それならいっそのこと損をした株はなるべく早く処分して
儲かっている株だけを手元に残しておけば、
その逆の結果が生まれることになります。
しかし、そんなことをやると
下げ相場になった途端に持っている株を全部売り払って
原価をわった現金だけが手元に残って
儲けとは全く縁がなくなってしまいます。
下がっている株だっていつか戻ることがあるのですから、
上がりそうな株だけを手元に残して、
さして見込みないと思う株は買値のことを忘れて、
株の入れかえをする必要があります。
株の諺に「建値を忘れよ」という誡めがありますが、
「建値を忘れよ」ということは
「過去の値段がいくらだったのかにこだわるな」
という意味ですから、
本当は「自分が買った時の値段にいつまでもこだわるな、
買った時の値段なんか忘れてしまえ」
と解釈した方が身のためになるのではないでしょうか。

私だって人間ですから1つの銘柄で大へんな損をすると、
どうやってその損をとりかえそうかと考えます。
ガマンさえすれば、いつか戻ると信じている場合は簡単です。
ガマンさえすればいいのですから。
しかし、10に1つくらいは
どう考えても自分の間違いだったと
考えるよりほかないケースにぶっつかります。
そういう場合はいくら手元に残るか計算するよりも、
叩き売って手元に戻ってきた分を
「おつりをもらった」と思うことです。
相場が底を打って戻り足になったと自覚した時こそ
「建て値を忘れよ」ということではないでしょうか。
いま私は「建て値を忘れよ」と
自分に言いきかせているところです。


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2009年5月21日(木)

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