中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3362回
不動産株の強気一辺倒にはブレーキを

景気が恢復しそうな気配を見せると、
誰でもすぐ頭に浮べるのは不動産はどうなるのかということです。
株をやっている人なら
不動産株が戻るんじゃないかとすぐに考えます。
景気が悪くなると、
不動産株は高値からかなり落ち込んでいる筈だからです。

しかし、高度成長期に日本人が味わった不動産の上げ下げ、
即ち「長期的に見れば、不動産の勝ち」といった動きと
全く同じ動きが中国株にも期待できるかどうかには
かなりの疑問があります。
現に今回の世界的な金融不安は
アメリカの不動産産業の生産過剰がきっかけになっています。
アメリカ人が
自分たちのつくり出した付加価値の範囲内で暮らすことから
ドルを印刷して不足分を補うという生活に切り変えたので、
世界的なドルあまり現象を起してしまいました。
そうして貿易黒字国に渡ったドルを引きとめるために
もっとお金の儲かるプロジェクトをあれこれ考え出したのが
「企業の買収」とか「不動産商品のマスプロ」です。
どちらもやがて頭打ちになるのに、
あれこれ工夫して保険までつけた商品にしたので、
需要と供給のバランスが崩れた途端に、
銀行や証券会社や保険会社までまきこんだ
世界的な金融不安をひき起してしまったのです。

こうした不動産という有限の資源を巻き込んだ金融不安は
かつて貿易の大幅黒字で過剰流動性を生んだ日本が経験しています。
ですからその後、
アジアで起った通貨の危機の原因にもなっていますから、
ドルの抜本的な改革が行われない限り、
アメリカでそれも不動産の分野で
日本と全く同じことが起ると私は予言したのです。
マネーゲーム敗れたり(書籍) HP再録」(1989年刊 PHP研究所)

そうしたお金の流れにストップがかからなければ、
中国にだってそのうちに
金あまりの反動が来ないという保証はありません。
この次は金あまりの番が中国にまわってくる公算が大ですから、
中国の不動産を
少し疑いの目で睨む必要があるのではないでしょうか。
少くとも強気一辺倒で買い向わない必要があると
私は思うようになりました。


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2009年5月24日(日)

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