中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3372回
中国水務が次から次へと事業拡大できるわけ

私は環境処理銘柄を取り上げるのに
上水処理よりも下水処理とか廃棄物処理を優先させましたが、
もとより自分なりの考え方があったことではありません。
日本のような水の豊富な国では
水と空気はタダと思っている人が多く、
汚水の方がずっと厄介だという先入観があります。
その先入観に従ったまでのことです。

しかし、中国のように、水道水が飲めないばかりでなく、
その水道水にも不自由するおそれのある国に来ると、
本当は先ず水道水の不足にどう対処するかが
もっと人々の関心をひき起すのです。

最近は上水道の供給に進出する企業もボツボツ出てきましたが、
水を手がけている上場会社として
比較的早くから知られているのは中国水務です。
電子関係の商売を手がけていた上場企業を買収して
証券市場に裏口入学して水道事業をはじめた会社で、
トップをつとめる箽事長さんも
政府の水道局出身のまだ40代の若い人だときいています。

業績の推移を見ると、赤字から黒字に転換したかと思うと、
いきなり不動産の売買による莫大な利益を計上し、
本業以外で会社が成り立っていることを
理解しかねている株主が多いために株価が異常な動きをします。
私もこの会社に目をつけた時に、
なぜ本業以外の計上利益が多いのか理解しかねて、
とうとう香港の本社まで訪ねて行きました。
そうして財務担当の重役さんからあれこれ説明を受けて
やっとどんな会社であるか自分たちの理解ができたのです。

中国ではさきにも述べたように、
どこの地方都市でも事、水道に話が及ぶと、
書記さんも市長さんも頭を抱えます。
自分たちの手の打ち方が間違ったために将来、
水不足で市民から文句を言われたらどうしようと
不安がかっているのです。
ですから香港に上場している上水道供給のプロの会社から
共同事業の話を持ち込まれると、
すぐにもとびつきたい気持ちになってしまうのです。
これほど役所の仕事に食い込める民間事業は
他にはないという有利な立場にあるのです。


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2009年6月3日(水)

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