中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3374回
水道屋がマンション屋を兼業しているわけ

狐につままれるような話ばかりですから、
いくらきいてもそのまま信ずることができず、
とうとう私は中国水務の財務担当者に
「では開発現場を1、2ヵ所見せていただけませんか」
と申し込みました。
そうしたら「一番大きいポロジェクトは
南昌から高速道路を2時間ほど走った
新余市というところにありますが、いいですか。
1日がかりの大仕事になりますよ」
と念を押されてしまいました。
ちょうど同じ江西省の南昌市から少し離れた
永修県というところにある
亨泰の大型農場を見学に行く用事もあったので
投資考察団を引率して行くスケジュールを組んだのです。

亨泰の大規模農園を訪問した翌日、
私たちは高速道路を150キロほど走って新余市に入りました。
高速道路の出口まで迎えに来てくれた中国水務の車が
私たちを案内してくれたところは、
私がひそかに予想していた通り水道施設の現場ではなくて、
マンションの建築現場でした。
「うちは不動産業もやっていますので」
とわざわざ香港から案内役をつとめるために来てくれた
財務担当の責任者はほとんど完成しかけているが、
まだ売りに出されていない建築物を指さしながら
色々と説明してくれました。
同行したメンバーの中には
「不景気になってしまったのに、大丈夫ですかね」
と心配そうに私にきく人もありましたが、
「地価が只みたいな商売だから、
損をしたりはしないでしょう」と私は笑ってきき流しました。

上水道の建設にはかなりのプランと時間がかかりますから、
マンションや商業ビルの建築というオマケの方が
どうしても先にできてしまうのでしょう。
その後、見せてもらったこの町の上水道装置や
やがて汚水処理の建設予定地もかなり大規模なもので、
こういうものを全国的に次から次と手がけているのなら、
少々くらい道草を食っても
つきあいきれるのではないかと思いました。
とりわけ香港証券取引所に裏口入学をした時に
大株主になった人たちの仕入値段が3.5ドルだったときいて、
「これならまだまだ先があるな」
と胸を撫でおろしました。


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2009年6月5日(金)

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