中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3375回
豊作貧乏の中で次の成長産業を探がせ

世界的大不況の影響で自動車業界がピンチにおち入り、
ビッグ・スリーだけでなく、
追う側のトヨタや日産まで空前の大赤字におち入っています。
それを追っかけるように、
ソニーやパナソニックや日立などの家電メーカーが
首を揃えて一せいに赤字を発表しています。
テレビやパソコンだけでなく、
自動車も半導体の塊まりみたいなものですから、
電機メーカーの損害の方がもっと大きく、
立ちなおりに時間がかかるばかりでなく、
業界地図が大きく変わるのではないかと言われています。

電機メーカーの場合も激しい生存競争の中で
生き残った企業だけが一段と巨大化して今日に至っていますが、
大きいから大丈夫だと安心してはいられません。
日進月歩の激しい半導体の業界で
一回の投資に何千億円もの資金が必要になると、
一歩間違えただけで大へんな損害を抱え込んでしまいます。
それも国内だけで解決がつかなくなって、
多国にまたがって離合集散をくりかえすようになると、
かつて中小企業に起ったような虱潰しが
大企業でも連発しかねません。
私は工業にも豊作貧乏が起るぞと言いましたが、
いままさに起ろうとしているのは、
大企業の虱潰しではないでしょうか。
パソコンという情報手段が一世を風靡したおかげで、
日本だけでなく、世界中で新しい産業へと隆替してきましたが、
新しく開発された産業が一わたり開発しつくされると、
業界にまた必らず豊作貧乏が発生します。
日本の電機業界も大きく変わろうとしていますが、
台湾や韓国に無数に誕生した新産業も
それによって新しく生まれた成金も
もしかしたら選手交替するところまで
辿りついたのではないでしょうか。

たとえば、レノボがIBMのパソコン部門を買収しましたが、
その後の動きを見ていても
更に爆発的な成長をしている様子は見られません。
もしそうだとしたら、
既有の成長産業の恢復を望むよりも
次の新しい成長産業を探がすべきではないでしょうか。
中国も20年で「世界の工場」になりましたが、
次の新しい工場は
はたして何を生産する工場になるのでしょうか。


←前回記事へ

2009年6月6日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ