中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3376回
サブプライム・ローンを簡単に説明すると

加工をして付加価値を生み出す作業はお金儲けの原点です。
お米をつくることだって、
そのお米を使ってスシを握ったり、
チャーハンをつくったりするのだって、
製品に付加価値がつくから、
高く買ってくれる人が現れるのです。

ところが、金貸しはただお金を貸しただけで
利息をとろうとします。
お金を借りた人がそのお金を使って商品に付加価値をつけ、
儲けたお金のなかから半分なら半分、
分け前をとるならわかります。
一昔前の銀行は商売をやっている人の商売のやり方を見て、
確実に利益をあげていると思えば、安心してお金を貸したのです。
そのうちにお金がいくらでもあるようになって、
お金さえ出せば金利を払ってくれる人があるようになると、
融資先の商売のやり方を勉強するのが面倒臭くなって、
絶対安全で保証つきの金融商品にお金を出すようになったのです。

絶対安全な商品と言えば
一流銀行や証券会社が保証つきで売り出している証券です。
証券を発行した一流金融機関は
そのお金を使って株を買い占めたり、
金利のもらえる商品に投資しました。
ケチでお金が儲かっても株主に配当をせずに
会社に留保金として積立てている会社の株を買い占めて、
貯めていたお金を吐き出させると、
株価があがって収益をもたらします。
M&A、即ちアメリカで流行った会社の買占めは
それなりに効果があったのですが、
そういつまでも続くものではありません。
そのうちにアメリカだけでなく、
日本や台湾や韓国や香港にまで手を伸ばして来たのは
ご承知の通りです。

それと同時に家を買うだけの資格のない収入の少い人に、
返済は3年目になってからでいいからと言って
ローンで家を買わせ、
その担保不動産つきの債権を
一流保険会社の保証つきで債券として売り出したのです。
返済の期限が来ても返済のできない人に
お金を貸しているのですから
不良債権としてこげつくにきまっています。
付加価値を生まない人にお金を貸しても、
お金がふえないのは当然のことです。
世界的な金融不安は銀行のこうした怠惰から起ったことなのです。


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2009年6月7日(日)

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