中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3378
いつになったら中国の銀行株を買う気に?

中国の銀行は日本の銀行と比べて、
海外との取引で遮断されている分だけ、
国際的な金融不安による被害は少くてすんでいます。
しかし、だからと言って、
中国の銀行が将来性のある業種だということではありません。

はじめて中国大陸で事業をはじめると、
すぐに銀行の後進性に気づきます。
何しろ銀行は資本主義の走狗として
共産主義者から目の敵のように見られていましたから、
やること、なすこと、いちいち政府の干渉を受けていました。
デパートでさえも
利益をあげることは人民を搾取する行為と見なされていましたから、
物を買って長く待たされた後に受け取った領収書を見ると、
デパートの売値のほかに
仕入れ値までちゃんと書き込んであったのです。
それも売値の90%でしたから、
僅か10%のマージンではデパートが成り立って行くわけがあります。
こんなに商行為を目の敵にしていたのでは
中国経済の健全な発展はあるわけがないと
私は「フォーサイト」誌に書いた記憶があります。

当然のことながら、銀行の後進性はもっとずっとひどいものでした。
送金されてきたお金を受け取るのにも時間を要しましたが、
自分の預金や会社の預金を引き出すのにも
一日にいくらという制限があったのです。
月給日が近づくと、
何日にもわたって制限額一杯の引出しを続けないと
従業員の月給さえ払えなかったのです。

さすがにそういう制限はなくなりましたが、
いまでも建築費のような長期資金でも
一年ごとの書き換えを要求されます。
たまたま金融引締めが発令されますと、
10年の筈が1年で返済を要求されます。
ですから同じお金を借りるにも
常に2社の銀行とつきあわなければならず、
別の1社から借りて返済できなければ
大へんな目にあわされるのです。
いくらお金が儲かっているからと言って
こんな時代遅れの銀行の株を買う気になるでしょうか。
最近は外国銀行が大株主になって
少しは改善される方向に向かっていますが。


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2009年6月9日(火)

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