中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3380回
次の成長産業はブランド化する食品

先進国だろうと発展途上国だろうと、
どこの国でも世界的な不況の影響を受けて
工業製品は売れずに在庫の山になっています。
私はこの状態を「工業生産の豊作貧乏」と呼んでいます。
工業製品の豊作貧乏は農産物の豊作貧乏と違って、
天候に左右されずに製品がいくらでもできてきますから、
ライバルとどちらが潰れるかという生存競争になります。
ですからいつまで続くのかときかれたら、
産業界の調整が終るまで
かなり長期にわたって続く可能性があります。
日本だってバブルがはじけてから恢復するまでに
16年もかかったのですから、
それが世界的スケールの豊作貧乏になると、
ちょっとやそっとのことでは終らないのではないでしょうか。

もちろん、広い世界には既に飽和状態になって
物を買わなくとも間にあってしまう先進国と
まだ欲しい物がいくらでもある発展途上国とでは、
成長のスピードによってそれぞれ差はありますが、
たとえば中国のように豊作貧乏の傷の比較的浅い国でも、
世界を相手に商売をしている以上、分相応の被害は蒙っています。
ですからバランスをとり戻すのにそれなりの調整も必要だし、
工業生産の体制そのものが先進国の景気の影響を大きく受けます。
国内の消費の増強によってカバーすると言っても、
輸出と国内では対象も違うし、
売れる商品にも大きな差があります。
何が国内でよく売れるかというと、
所得の向上によって人々が喜んでお金を払う業種
ということになりますから、
耐久消費材よりは食品やサービス、
簡単に言ってしまえば、
自動車よりもデパートやスーパーで手軽に買える物とか、
レストランで口に入るものではないでしょうか。
現に大陸で暮らしている人なら
立ちどころに賛成してくれると思いますが、
最近、店で売っている食べ物が見違えるほど豊富になっています。
それもいままで買いたくても手に入らなかった高級品に
財布の底をはたく人がふえていると思いませんか。
私は衣料や化粧品だけでなく食品にも
ブランド化がはじまったと見ています。


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2009年6月11日(木)

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