中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3381回
次は工業製品より食品に注目を

もう7、8年も前のことですが、
私は中国株のなかで食品を扱っている株に
ブランド商品がほとんどないことに気づいて、
たとえば康師傅のようなインスタント・ラーメンの会社が
投資家の注目を浴びる成長株になるのではないかと
考えたことがあります。
私は日本で日清食品の安藤百福さんと古くからつきあいがあって、
チキン・ラーメンの上場にかかわったこともあるので、
中国でも似たようなことが起るのではないかと予感したのです。

観光地の喫茶店の日除け傘に康師傅と書かれてあるのを指して、
「この会社の株、買うといいですよ」
と考察団に参加した人たちに冗談半分に言った時は
株価が1ドル20セントくらいでした。
それがあッという間に5ドルに達した時、
「もういでしょう。まあ、こんなものですよ」
と私は半ば本気で売りをすすめましたが、
私の予想を裏切って
株価はあッという間に10ドルに達してしまいました。
インスタント・ラーメンが日本と同じように
中国でも受け入れられるだろうという予想は正しかったのですが、
株価の身通しは思いつきの範囲を出ないことが
おわかりいただけたと思います。

ですから、内モンゴルのフフホトに行った時も、
すぐ蒙牛の最新工場を見学に行きましたし、
その世界的水準の最新鋭工場にびっくりしたことがあります。
はたして上場した蒙牛は業績も株価も順調に伸びましたが、
メラミンで躓くところまでは予見できませんでした。
考えて見ると、森永でも明治でも雪印でも、
食品メーカーは躓きの石を避けきれなかったのですから、
食品産業の成長過程で中国の食品メーカーが
同じ目にあわされるのは宿命的なものと言ってよいでしょう。
それでおしまいというわけではなくてあとに
旺旺、福記、雨潤、統一、匯源と続いています。
その中からも次の注目株が出てくるでしょうし、
恐らく大型農業株も含めて次の時代をリードする新型食品株が
次々と誕生するのではないでしょうか。
工業製品より食品に注目するべき時代になったのです。


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2009年6月12日(金)

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