中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3382回
大型農場が次の成長産業の仲間入り

中国ではこの20年に工業は大幅な成長を遂げましたが、
農業は大した機械化も進まず、
大量に生産性があがったという形跡もありません。
沿海地域や大都会で工業化が進むにつれて、
農村から都会へ人口の大移動が起り、
地方では日本と同じように3ちゃん農業化が進展しています。
それでも日本のような食糧の大量不足になっていないのは、
農村のコルホーズ化をケ小平が阻止して
農民の耕作意欲が戻ってきたおかげです。

しかし、これからはそう安心ばかりしてもおられません。
世界的な大不況のあふりを食って
沿海地域で失業した地方出身者の里帰りが目立っていますが、
これは一時的現象で新しい仕事場が見つかれば、
これらの工場労働者はすぐにもまた新しい職場に戻ってしまいます。
労働力の豊富な地域に工場群の大移転が起っていますので、
これらの労働者がそのまま
故郷の職場に踏みとどまることは考えられますが、
農業人口が元に戻るわけではありません。
従って工業化によって農村人口が減少するのと、
国民所得の向上によって食生活が高級化するのが
併行して起るので、食品業界に新風がまき起ることは
避ける術がないと私は見ています。

そうした観点から中国の農業の新しい波を見ていると、
農業の資本主義化、
即ち大規模農場の出現が目につくようになりました。
上場会社の農林という欄を見ると、
超大現代農業と中国緑色食品が肩を並べています。
スケールは超大の方が大きいが、
両社とも売上げの3割から4割も計上益があり、
大へんな勢いで業績が伸びているので、
株価不振のさなかで
どちらも5ドル前後という高値を維持しています。
しかし、株価操作の前歴があって
すっかり評判をおとした情報も入り乱れて
一筋縄では行かないようです。
従って手離しでとびつくわけにも行きませんが、
大規模農業が次の物色の対象になりつつあることは確かです。
そのためにまだ上場していない会社も含めて、
私は3社ほど現場まで見学に行ってきました。


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2009年6月13日(土)

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