中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3383回
日本で大規模農業は絶望的です

中国ではこれから大規模農業が軌道に乗りはじめるところですが、
日本で同じようなことが起るかというと、
多分、そうは行かないと思います。
というのも戦後、日本では農民を保護するために、
地主から土地を取り上げて小作人にわかちあたえましたが、
そうした農民を保護するために、
農地を農民でない者が買収するのを禁じ、
農地を宅地に転用することもきびしく規制したからです。
その上、会社が農業に従事することを禁じたので、
農業の合理化がすすまなかっただけでなく、
農民離村がはじまると、
農地は遊休化して、
今日のような自国の食糧さえ供給できない
食糧輸入国におちいってしまったのです。

農業の生産性はあがらなくとも、
技術を尊重する日本では農業技術だけは一人歩きをして物によっては
世界のトップを行くレベルに達していますが、
食糧の供給の7割近くを輸入に仰ぐ
食糧の自給できない国になってしまったのです。

これではいけないと考える人たちがさまざまの方法で
食糧の生産に乗り出したり、
大型農場の経営に乗り出していますが、
オムロンやカゴメをはじめ、
いままでのところ、成功した例は一件もありません。
農地の取得も容易でないし、
地目の変更も、また人をやとうことも
お金がかかりすぎます。
しかも農民の票をあてにする政党の思惑がからんで、
農業の合理的経営は
今後も実現する見込みは先ずないと言ってよいでしょう。

したがって日本人が自分たちの食糧問題を解決しようと思ったら、
日本人が日本以外のところに出かけて行って
日本の農業技術を現地で発揮する以外に道は残っていません。
その点、中国では農地の確保をすることもできれば、
農業に従事する労働者を確保することもできますので、
野心のある人は日本の土地から離れる必要があります。
私自身も現にそういう考え方をするようになっていますが、
その前に先ず中国の大規模農業の現場を
見てまわることにしましょう。


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2009年6月14日(日)

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