中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3391回
株価にはもう何回か駄目押しが

中国は約30年の努力で「世界の工場」にまで成長しましたが、
試験的にスタートした4つの経済特区がすべて
香港と台湾に近いところに設けられたことからもわかるように、
工業化は広東省、福建省からはじまって、
上海、青島、天津、大連と
主として沿海地域に拡がって今日に至っています。
工業化は先ず労働集約的な分野から入っていますので、
繊維加工、靴、玩具などの工場は
深圳、珠海からその周辺都市に集中しており、
そのための労働力を現地だけでは間に合わなくて、
奥地から大量に誘導していました。
そのおかげで沿海地域は全国に先がけて豊かになっています。

ところが、金融不安からはじまった世界不況によって、
中国の輸出にブレーキがかかると、
真先に輸出減を起すのは手作業でつくるこれらの加工産業であり、
一番早くから輸出不振におちいったのも
これらの沿海地域の零細輸出産業です。
従業員をクビにする以前に
休みで故郷に帰った従業員の方が帰って来なくなり、
求人難と金ぐりの悪さで倒産する中小企業が
2、3年前から目立っています。
それが本格的な輸出不振で、
この文章を書いている段階ではまだ発表されていませんが、
8%の成長率を維持するどころか、
恐らく上半期で輸出は前年比20%くらいは
ダウンしているのではないでしょうか。

それに比して私が力を入れている成都とか昆明とか
内陸地帯は地震やチベット問題でトラブったにも拘らず、
購買力は全く衰えず、
「災難に売りなし」を証明する成長を続けています。
工場が労働力の安価で豊富な地域に
移動しているせいもありますが、
プラスからマイナスをさしひいて
はたして政府の目標とする8%成長を達成できるかどうかは、
世界中が注目しているところです。
輸出不振が発表されれば、
その度に株価がその影響を受けることも考えられるし、
このまま完全に健康体に戻れるわけではありません。
しかし、若い方が年寄りより恢復が早いことは
人間だけでなくて経済についても言えることだと思います。


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2009年6月22日(月)

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