中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3393回
花形産業より不足産業に目を向けよう

アメリカの自動車業界の立て直しが
容易でないことは誰にでもわかることです。
石油が100ドルを突破するような時代に
誰が金食い虫に乗ってとんだりはねたりするものですか。
ならば、省エネ車なら大丈夫か。
ハイブリッド車なら未来があるのか、
と消費者の目はくるくる変わります。

もちろん、さしあたりは次に売れそうな商品づくりに
どんなメーカーも血眼になっています。
そうした中で、最も立ち遅れたアメリカのカー・メーカーが
どうやって先頭を切るようになるでしょうか。
同じ競争の列に並ぶとしても、
ビッグ・スリーはトヨタやホンダやベンツの
後塵を拝することは先ず間違いないでしょう。
ではトヨタやホンダなら大丈夫かということになると、
いまや世界中の自動車メーカーが
全智全能を傾けて他をだし抜く自動車の生産に力を入れています。
人気のある新型車を売り出したメーカーは
少なくとも一時期はホクホクすることもあるでしょう。
でも工業製品に関する限りでは
供給力が需要をすぐにオーバーすることは時代の傾向ですから、
工業的豊作貧乏を避けることはできません。

ですからトヨタやホンダなら大丈夫で、
まだ自動車ブームが完全に普及していない中国やインドなら
大丈夫だと安心しているわけには行きません。
自動車の生産台数だけで比較するなら、
中国のことしの生産台数は恐らくはアメリカを抜くでしょうが、
中国の自動車メーカーが増収増益を続けられるか
ということになると、どこの会社が生き残るかという
生存競争の檜舞台になるのではないでしょうか。
中国は国内消費の増大で
輸出の不振をカバーする時代になることは間違いありませんが、
需要に応じていくらでも供給のできる業種は
営業不振のチャンスの多い分だけ
宛てのはずれるチャンスもふえます。
ですから花形産業なら大丈夫と思うのは早とちりで、
むしろ供給が需要の増大に追いつかない業種に
目を向けるべきではないでしょうか。


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2009年6月24日(水)

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