中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3395回
黄金に集まる人気は絶えないけれども

世界中の政府がお金に困ってドンドンお札を刷るなら、
お札の値打ちはドンドン下がります。
それなら金の値段は逆比例して値上がりするのではないかと言って
金に投資する人や金鉱株を狙う人は後が絶えません。
そういう人がたくさんいる限り、
金鉱株は高値を維持します。
たまたま知人がいて山東省に行った時、
招金鉱業という金を専門に掘っている会社の
見学に行ったことがありますが、
どこかに金を掘っている鉱山があって、
そこに案内してもらえるものだと思っていたら、
本社ビルの建っている地所の下が鉱山になっていて
「この下、ずっと深いところまで掘っているのですよ」
と説明されて、とてもびっくりしたことがあります。

その時の招金鉱業は株式市場全体が安値におちていたせいもあって、
3ドルあまりまで売られていましたが、
それでも莫大なストックを抱えていて
お金に困るような状態ではありませんでした。
それでも私が心を動かされなかったのは、
金はかつて通貨としての役割をはたしていましたが、
これだけ経済のスケールが大きくなったら、
いくら紙幣に欠陥があっても
再び金本位制に戻ることはあり得ないし、
金の用途に至っては装飾品になるか、
入れ歯に使われるだけで、
石油や銅に比べたら、
ずっと必要性に欠けていると思ったからです。

しかし、家に帰りつくまでに招金の株価は
早くも動意を示し、
あッという間に10ドル台に戻ってしまいました。
用途がどうあろうと、
金には絶大な信奉者があり、
紙幣を裏返しにした信用がある以上、
人気は今後も容易には衰えないと言ってよいでしょう。
では、株式投資の対象としてどうかということになると、
消耗品でないだけに、
株価を押し上げる力には限りがあります。
石油は使えばなくなってしまうものですが、
これだけ用途が広く、
無くてはならないものだということになると、
金鉱とは比べ物にならないくらい大きなお金が動きます。
同じ資源でも月とスッポンほどの差が出てしまうのです。


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2009年6月26日(金)

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