中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3398回
資源株だけ優位に立つことはありません

「資源株に注目を!」と言うと、
消費財をつくっている加工産業よりも
資源の方が大切だと早合点する人がいるかも知れません。
しかし、実際にはどんなに資源に
不足を来たすようなことが起っても、
資源を加工して付加価値をつける加工業がなければ、
資源に何の値打ちもないし、
従って資源産業も成り立たないのです。

南アフリカに行くと、
金とかダイヤモンドを扱っている会社は大企業に属します。
鉱山のオーナーは高額所得者にランキングされるし、
社会的にも顔役です。
でも金やダイヤを買ってくれる人がいなければ、
大きな所得はもたらされないし、
従ってこれらの高額所得者の顔は
いつもヨーロッパでダイヤの加工をしている業者とか、
そうした貴金属に付加価値をつけて
世界中の大金持ちに売っている
著名な貴金属商の方を向いています。
事実、またそうした加工業者の方が
アフリカで原材料を掘っている鉱山のオーナーよりは
金まわりがいいのです。

このことは鉄鉱石を掘ったり、材木を伐採したり、
羊毛を生産している1次産業の提供者についても言えることです。
景気がよくて物がいくらでも売れ、
加工業者がホクホクの状態におかれていなければ、
原料や素材の提供者は値上げの要求どころの騒ぎではありません。
カナダやオーストラリアや中近東の資源国は
それを買ってくれる加工業者の顔色を見て
一生を送る運命にあるのです。
資材が不足して値上げを余儀なくされたら、
それを仕入れた加工業者はその上に
加工賃と加工利益を上乗せして消費者に売ります。
転嫁できなくなって損失を蒙ったら、
その損失はやがて原材料の提供者にまではねかえってきます。
ですから割りを食うのは加工業者だけではありません。
資源の提供者も従って資源株を仕入れた人も
景気不景気の影響を受けることに変わりはないのです。

いま問題になっているのはそんな資源の不足よりも
工業に豊作貧乏が長期にわたって起りかかっていることです。
そんなに早く恢復できないかも知れないのです。


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2009年6月29日(月)

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