中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3405回
企業の檜舞台は10年で終わりです

しばらくぶりに日本の株価を覗いて見ると、
昔に比べて3分の1、5分の1まで
値下がりしている株にいくつでもぶっつかります。
かつて株を買っただけでなく、
その会社のトップの人たちも親しく行き来があり、
アドバイスをする立場にもあったので、
私なりに親近感があるのですが、
日本の企業は同じ資本主義でも
サラリーマン資本主義ですから、
親しくつきあった人々がトップの座から去ると
全くつきあいのない会社になってしまいます。

それにしても、あまりにも様変わりの株価ですから、
何とかならないものかと考えてしまいます。
でもここで買えるか、
近い将来に元気を取り戻すチャンスがあるかと
頭をいくらひねっても、
育ち盛かりの時代のあの期待感は戻ってきません。
会社のスケールはあの頃の何十倍にもなったし、
資産や売上げや利益だって
もっとずっと安定したものになっていますが、
ではこれから倍になるのか、
3倍に戻るのかということになると、
自分が老いぼれたように
日本の一流企業も老化してしまっているのです。
「朝の来ない夜はない」「陽はまた登るよ」と
いくら心の中で叫んでも、
青春が再び戻って来ないように、
日本経済の成長期は少くともいまの状態では
戻ってくるきざしさえ見えないのです。

経済界全体にそのきざしが見えない限り、
企業にそれを期待することはできないし、
次のジェネレーションを築く人たちに
日本を舞台にした活躍をすすめることもできません。
でも日本人にその素質や資格が
なくなったかというとそうも思えません。
私のようにアジア中をとびまわっている者から見ると、
日本企業及び日本人の活躍する舞台は
日本でなくなってしまったのです。
企業の活躍する舞台が変わっただけでなく
企業の成長期も短縮されて
10年しかもたなくなってしまったのです。
たった10年で檜舞台から消えた日本の企業を
私はたくさん見るようになっています。
それでもまだ同じ舞台にしがみついて
踊りたいですか、皆さんは。


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2009年7月6日(月)

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